土夜の摩天楼

愛に溺れてオーバードーズ

重岡くんの作詞能力をただただホメチギブログ

重岡くんの言葉選びが秀逸というのは作詞する前から多方面から言われていた話ですが、言葉選びだけでなく、視点だったり音の語感だったりもすばらしいよねとふと思って深夜に書き出し始めたブログです。オチはないよ。

重岡くんの作詞(作曲)作品はこちら↓

1.乗り越しラブストーリー

2.間違っちゃいない

3.to you

※do you know girl?は合作なので含めません。散々言われてると思うけど曲名にsweetkissを足して『どーゆーのがすき?』ってサビで問われるのおしゃんで好きです。重岡くんがやりそうな手口。

 

1.乗り越しラブストーリー*1

ガタンゴトン揺れる僕らは
出会い別れまた恋をして
ドンと構えた僕の切符
乗り越しラブストーリー

「よっ」て言えよはよ
車窓透けた僕赤ら顔
こっち気づいてや
キレイなってる横顔

いつだって何だって繋いだ手と手
「めっちゃ幸せ」言うて見つめ合った
目を閉じて 思い出ひたっとったけど
ドア開く まだ好きなんや

ガタンゴトン揺れる僕らは
いったいどこへ向かってるの
ポケットつまづいた僕の切符
乗り越しラブストーリー

誕生日にくれた流行りのキャップ
実はサイズ きつい
「私も一緒に使いたくって」
ってエヘヘちゃうで

怒らせたくて パシャリ寝顔
「もうやめて~」って僕見つけてギュッ
アダムとイヴも二度見しとったやろ
ドア開く まだ降りないで

ガタンゴトン揺れる僕らは
きっと笑うため泣いてたの
ポケットでぽけーっと僕の切符
乗り越しラブストーリー

僕を待つ君がもしいたら
どんなに笑えんだろう
本当は知ってた サヨナラだって
君の切符 幸せそう
僕が降りる駅 見えてきたよ

ガタンゴトン揺れる僕らは
出会い別れまた恋をして
ドンと構えた僕の切符
乗り越しラブストーリー
乗り越しラブストーリー
乗り越しラブストーリー

揺れる心 行け涙 僕の“愛してる”

情景描写力にたけてる1作だなと思う。世界観に浸れる。切符の擬人化表現、会話口調の関西弁、列車がガタゴト進んでいくようにAメロBメロで台詞込のストーリー展開していった後、サビでこの甘い話は回想シーンだったなとふと現実に引き戻し切なさを感じさせるのが上手いな〜と思います。

 

『車窓透けた僕赤ら顔』という表現、これだけでもう電車の中で起こった再開ラブストーリーのやきもきを上手く表してる気がしてめちゃめちゃ好きです。愛しい人に声を気軽にかけにいけなくなった距離感をちゃんと感じてしまうのよ。

 

『ドア開く まだ好きなんや』『ドア開く まだ降りないで』と1番2番のサビ前に畳み掛ける漏れ出た本心。思い出に浸り彼女への思いが増し増しているところに溢れ出る感情表現が上手い。ドアのぷしゅーーーっていう開閉音が聞こえてくるね?

 

『実はサイズきつい』これ実話???シンプルにきゅんとくるストーリー作りで彼女のかわいげをふんだんに表現して聞いてるこっちも愛しくさせてくるの狡い。

 

『アダムとイブも二度見しとったやろ』ベストオブワードセンス賞受賞。どうやったらこの微笑ましさを表現するのにこの言葉が思いつくのか。

 

『ドンと構えた→ポケットつまづいた→ポケットでぽけーっと→ドンと構えた“僕の切符”』切符擬人化シリーズを毎サビにいれて気持ちの移り変わりを表現している模様。降りる駅までに気持ちの整理をつけていく主人公がみえてくる。君の切符(今の彼女)は幸せそうだから、僕の切符(気持ち)も上手く処理せなあかんな?という心の機敏セツナイネ。物語を分かりやすくするキーポイントな気がする。敢えてほとんどいじらないサビを繰り返すことによって、電車が進み時も進む感じが伝わってくる気がする。ポケットでぽけーっと天才か?

 

 

 

2.間違っちゃいない*2

涙 一粒
星降る夜に
光れない 馴染めない
なぜ同じ様に生きれないの

予定詰まった
カバン捨てて帰ろうかな
眩しい近所の夜空

間違い探しの世界で
赤ペン持つのかい
インクが足らないね

間違っちゃいないよな
君と出会ったことも
夢を信じることも
答えに牙むいてさ
何度も何度でも
さよなら上の空
僕は僕で僕なんだ
間違っちゃいない
間違っちゃいないんだ

ないものねだり
タラレバを振り払う
朝の占い 横目で順位気にしてさ

理想と現実で結ぶ靴ひも
歩けるかな
教えて近所の青空

ぐるぐる渦巻く世界で
君が花びら
花丸つくれるね

間違っちゃいないよな
消えたくなった夜も
逃げたくなった朝も
まぁまぁカッコいいんじゃない
泣きたくて泣けなくて
“お疲れ”と夕日が ほら
君は君で君なんだ
間違ってもいい
間違ってもいいんだ

頑張れなくていい
嫌になったっていい
情け無くていい
ダサくていい
怖くなってもいい
どんな自分だっていい

どうしようも無いくらい
どうしようの繰り返し
誰が明日を知ってるんだ
誰にも解らないから

君と出会ったことも
夢を信じることも
答えに牙むいてさ
間違っちゃいないよな
目が合う近所の空
僕は僕で僕だ
間違っちゃいない
間違っちゃいないんだ
間違っちゃいない
間違っちゃいないんだ

 

1作の間にモヤっとした気持ちを昇華してしまう曲。一旦マイナスな気持ちに共感してから背中を押すので無責任な感じがなくていい。詩的表現満載でクセのある表現が心にとっかかって印象を残していく感じがすごい好きです。この曲を聞きながら、一緒に自分の気持ちややってきたことと向き合って悩んで、沢山の反対にあっていても、この曲だけはひとつだけでも肯定してくれる存在になってくれるそんな気がする。自分の考えや成し遂げたことが否定された時、自分自体が間違ってるんじゃないか?おかしいんじゃないか?って不安になってしまう時ってあるけど、君は君で君なんだからそう考えること自体は決して間違ってなんかいなくてダサくなんかないよって、大事なことを思い出させてくれる気がします。全肯定じゃなくて、一緒に気持ちを段取り踏んで確認していくから最後まで聞くといつの間にか人生に前向きになれるそんな曲です。

 

『涙一粒 星降る夜に』涙流してると目が潤んでより一層星が輝いて見えるんですよ。自分がより輝いてないように見えちゃうんだ。ここまで考えてたら重岡くん凄すぎるんですがきっと彼も夜道を泣きながら一人で帰った夜があるんでしょう。きらきら輝いてるようにみえる重岡くんの等身大の姿を想像させてしまうのも上手い。

 

『予定詰まった カバン捨てて帰ろうかな』一人考えに浸りすぎてもう人生嫌になっちゃう感じ。投げ出したくなる感じ。全部全部全部わかる。

 

『間違い探しの世界で 赤ペン持つのかい インクが足らないね』ベストオブレトリック賞金賞。あれもこれも嫌だな違うなって考えちゃうこと沢山あるけどそれに全部首突っ込んでたら人生疲れちゃうよ?ベストオブ確かに賞もW受賞。

 

『答えに牙むいてさ』この表現めっっっっちゃ好き……!!人生試行錯誤の繰り返しだと重岡くんからご教示いただけたら頑張れるね。

 

『間違っちゃいないよな→間違っちゃいない→間違っちゃいないんだ』自問自答で肯定度が強くなっていく。1人の人生を歩んでいく過程をみてる。

 

『朝の占い 横目で順位気にしてさ』朝に移り変わったね、時間描写をさりげなく刷り込んでくるの上手すぎる。どうであっても間違ってなんかないって昨日の夜思ったけど、やっぱりちょっと不安が滲み出ちゃう人間のポップなとこ全部出てる。「アイドルも同じ心のゆらぐ人間だもの。」っていう重岡節が最強に光ってる表現。

 

『理想と現実で結ぶ靴紐 歩けるかな』ここ好きすぎて死にそう。みんな理想と現実で靴紐結んだことある?ないと思うじゃん?これ比喩なんで皆絶対あるんですよね(思いつかないけど)←ココ重要   昨日の私は間違っちゃいないなんて理想だけど今日の仕事だったり勉強部活だったりの現実に結び付けられるかな?ちゃんと合致してうまくいく?そんな誰もが思う不安この比喩に押し込めた天才誰ですか?重岡大毅さんっていうんですけど。

 

『眩しい近所の青空→教えて近所の青空』ちょっと距離近くなってるじゃん感動(涙)徐々に前に1歩踏み出そうと奮闘してる感じが伝わってくる。

 

『ぐるぐる渦巻く世界で 君が花びら 花丸作れるね』ここ最初何指してるか分からなかったんですけど、混沌とした嫌なことも楽しいことも色々ある世界でも、君1人は花びらであって渦に巻き込まれていけば花丸になるよねって話だと私は取りました。みんなの解釈が1番分かれそう。赤ペン先生、貴方が花びらになればインクが足りちゃうね。

 

『まぁまぁカッコいいんじゃない』あまねく人の共感を呼ぶポイントその1「あくまで全肯定はしない」私みたいなひねくれてるタイプの人は、人類みんな宝で生きてるだけでサイコーだぜ!みたいな詞にはあまり響きません。だけどまあまあっていわれたらそんな気もしてくる。消えたくなっても逃げたくなってもまあまあカッコよくね?魔法の言葉まあまあ。

 

『“お疲れ”と夕日が ほら』ここ耳だけで聞いてると「お疲れと言う日がほら」にも聞こえるんですよね。意図してるのか否かまでは分かりませんが、言葉の音の操り方が上手い。

 

『僕は僕で僕なんだ→君は君で君なんだ』『間違っちゃいないんだ→間違ってもいいんだ』1番と2番で主語が変わってます。1番は自問自答。2番は夕日(三人称視点)が勇気づけてるように聞こえる。

 

『どうしようもないくらい どうしようの繰り返し』触れてないけどこの前のテンポよく怒涛の自己肯定感を爆上げする畳み掛けグッとくる。作曲センスもあるってどういうこっちゃねん。ここも好きな表現なんだ!愛してる!声に出して読みたい。

 

『目が合う近所の空』最初は夜空に輝く星に引け目を感じてた。だから空は眩しくて遠い存在だった。だけど前に踏み出そうと空に不安をぶつけてみると、夕日がお疲れって言ってるように見えてくるくらい近い存在に。間違っちゃいないって自信をつけて確信した今の私には空は同じ立場に立てている。っていうふうに解釈しました。サブストーリーの空で時の進みと成長を表現してらっしゃるの抜かりない。

 

3.to you*3

思い出し笑いできるんだ
あの日々僕の足元を照らすんだ
何とかなるって 夜明けの魔法すがろうか
でも何もかも失くしたくない

永遠だとか 一生なんてな
どこにあるんだ

もう 探さない 見つからない
また一人 また一人
それぞれの道 歩いてく
どいつもこいつもいい顔で

じゃあな じゃあな 寂しくなるぜ
全てが 全てが 恋しくなったって
放物線を空に描こう
あなたへ届け 虹色のピース
ありがとう ありがとう 旅立つ背中に
いつか僕は僕で 待っていて 見守って
一人帰り道 口ずさむ
新しいメロディー ふっと笑った

お前の恥ずかしい過去知ってるぜ
お互い様か ネタには出来ないな
あと何分の一日か 他人事みたいに思う
でも何もかも忘れたくない

永遠だとか 一生なんてな
どこにあるんだ

もう 戻らない 戻れない
いつの日にか いつの間にか
信じてる道 進むんだ
お前の夢 笑わないぜ

あばよ あばよ 会いたくなるぜ
でもな でもな 今はまだ早いね
一人帰り道 この胸に
止まらないリズム ふっと感じた

どれもこれも何もかもって
大事なもんはどんどん増えてって
自分ってなんだろ 人生ってなんだろ
何だっていいじゃん love you やっちゃいな

どいつもこいつもいい顔で

じゃあな じゃあな 寂しくなんかないぜ
またな またな 今じゃないどこかで
放物線を空に描こう
あなたへ届け お決まりのピース
ありがとう ありがとう 旅立つ僕らに
あの日の僕らが 待ってるって 見守ってるって
一人帰り道 立ちどまる
懐かしい声に

思い出し笑いできるんだ
この日いつか足元を照らすんだ

 

『それぞれの道 歩いてく どいつもこいつもいい顔で』どいつもこいつもいい顔で、って良い表現だなあ(泣)別れって辛いけど、仲間が前を向いて次のステップへ進んでいく逞しい姿を見られる幸せな機会でもあるんですよね。

 

『信じてる道進むんだ お前の夢 笑わないぜ』

ここほんっっっとに好きすぎて何度も反芻した。このパートを濵田くんに振りたいって考えた重岡くんの心の内が少し分かってしまうような気がして胸が苦しいです。折れたくない芯はあるけど繊細なとこもあるみたいな、重岡くんに限らずあると思うけど、夢を応援して手出しするのでもなくそっと肯定して見守ってくれるような存在って、なかなかいないけど欲しいなと思いますよね。

 

『でもなでもな 今はまだ早いね』会いたくなるけどお互いの成長のために距離を置かなきゃいけない時あるんだよなあ。別れとの上手い付き合い方を考えさせられる気がします。

 

この曲は過去の2作より聞いてて心地よい、思わず口ずさみたくなるような音の響きが重視されて作られてるような気がします。あとは別れを告げる明確な対象がいるわけでもないし、思い出にふける切なさも既に昇華済みだから、別れの曲だとは思えないほどすっきりとした後味がする曲。仕事柄沢山の別れを経験してきた重岡くんならではの別れへの考え方が端的にあらわれている気がする。お互い別の進路や職場に進んでいく、前向きだけどつい後ろを振り返ってしまいたくなる、そんな別れの時期に発売するのにぴったりの曲だったと思います素晴らしい。

 

 

(終わりに)

全体の所感をサラッと記そうと思ったのに、ひとつひとつのワードが大事にされすぎてて全てに口出したくなっちゃって、なんちゃって深読みみたいになってしまいました。

ひとつの言葉に複数の意味を込めたり音の語感を大切にして書き物したり、受けての深読み次第で感じ方が変わるみたいな詩的表現が好きなんですよね。私には重岡くんの詞は何度も読んだり聞いたりして、人によってさまざまにわくわく考えをふくらませる余韻のスペースがあるような気がして。あとはサブストーリーで時が進みゆくのが分かるようにしているので、歌詞全体に統一感があっていろいろ掛かってるところがあったり、あらかた完成したあと重岡くんがあれこれ手を加えた感じが伝わってくるのも込込で1曲まるまる愛せるストーリーを生み出す天才だと思います。

いつも素敵な詞をありがとうございます。これからも無理せぬ範囲で重岡くんの世界観を覗き見できる詞を書き上げてくれることを願って、楽しみにしております。

 

 

*1:アルバムWestival通常版に収録

*2:アルバムWESTV!通常版に収録

*3:アルバムwtrouble通常版に収録